[ オピニオン ]
(2017/12/21 05:00)
トヨタ自動車が2025年までに、世界で販売するすべての車種に電動車を設けると発表した。設定がエンジン車だけの車種はなくなる。トヨタが電動化のアクセルを踏むことで、国内外の車メーカーの電動化が加速しそうだ。
トヨタは電気自動車(EV)だけで10車種以上を展開。ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)と合わせて全車種をカバーする。
電動化を加速するため、電池の研究開発や設備投資などに30年までに1兆5000億円を投資する。同社は車載用電池で、現在の円筒形に代わる角形電池でパナソニックとの協業を検討しており、電動化のキーとなる車載用電池の高性能化と安定供給に布石を打っていた。
自動車技術に詳しい小口泰平芝浦工業大学名誉学長は「エンジンのエネルギー効率はガソリン車が20数%に対し、EVは40%以上、進化すれば50%に近づく」という。ガソリン車がピストンの往復運動を回転運動に変換しているのに対し、モーターはもともと回転運動なので、ロスが少なく、エンジンよりも効率が良いというわけだ。
ただし、現状では充電時間がかかる、走行距離が短い、電池が重たいといった課題がある。トヨタとパナソニックの協業は自動車に収納しやすい角形をターゲットにした。さらにトヨタは、その先にリチウムイオン電池を大幅にしのぐ容量と、短い充電時間を実現できる全固体電池を視野に入れている。
もう一つの問題は電動車が普及した場合の電気の供給だ。温室効果ガスを大量に排出する石炭火力発電や、ひとたび事故が起こると大惨事につながる原子力発電は増やすことが難しい。
一方、車の電動化が進めば、石油の消費量は減る。その分、石油火力発電所を増やす方法もあるが、温室効果ガス削減の効果は打ち消される。温室効果ガスを30年度に13年度比26%減、50年に先進国全体で80%減との目標に暗雲が漂う。結局、再生可能エネルギーの大量導入が選択肢ということになるだろう。
(2017/12/21 05:00)
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