[ 機械 ]
(2018/1/12 05:00)
【川越】入曽精密(埼玉県入間市、斎藤清和社長、04・2934・4633)は、1辺が100マイクロメートル(マイクロは100万分の1)のサイコロなど超微細加工品を量産できる技術を確立した。一般のマシニングセンター(MC)に補助装置を付加するだけで、1ミリメートル以下の極小な素材を6面方向から切削できるようにした。例えば、現在は単価で約50万円の同サイズのサイコロを、町工場でも50分の1以下の1万円未満でつくれるようになるという。
超微細加工では、加工対象物(ワーク)の固定と移動が最大の難関。この繰り返し精度を高められなければ量産化できない。入曽精密の補助装置は主軸2本からなり、これらが動いたり、ワークを受け渡したりすることで6面を加工する。
ワークの固定の際は、あらかじめ部材の形状に合わせた型を治具の先端に設けておき、上下の治具で挟み込む。「いわば金型で挟んでしまおうという新しい発想。これでどんな複雑な形状でも固定できる」(斎藤社長)仕組みだ。
これにより人手を介さず、ほぼ全自動で作業でき、繰り返し精度も高められる。「ORIGAMI(オリガミ)」の商品名で早ければ4月に発売する。価格はコンサルタント料を含め2500万円以下を予定。「売り切り品ではなく、顧客が使いこなせるまで使用方法をサポートしていく」(同)方針だ。
同社ではすでに特別な専用装置と手作業により、1辺が100マイクロメートルの真ちゅう製サイコロの製造に成功している。どの工場にもある3軸のMCにオリガミを後付けすれば、だれでも簡単につくれるようになる。「サンプルとして、花粉1個をつかめる鉗子(かんし)を量産する予定。マイクロカテーテルなどの医療用途にも展開できる」(同)と見ている。
(2018/1/12 05:00)