[ オピニオン ]
(2018/1/24 05:00)
雪の朝は町内が早起きになる。22日夜、発達した低気圧が太平洋側に大雪をもたらし、東京都心でも4年ぶりに20センチメートルを超す積雪を記録した。翌23日は未明から近隣住人と声をかけあい、慣れぬ雪かきに精を出した。
早めに出勤した商店やオフィスビルの人も作業をはじめ、歩道の除雪が広がっていく。歩行者が転倒してケガをすると困るし、残雪が多ければ集客にも響く。自宅やビルの前が一面、真っ白のままというのは格好が悪い。朝の雪かきは、おもてなし精神と横並び精神の微妙な融和で成り立っている。
ちょっとした降雪が大ニュースになる都会は、豪雪地帯の方からはひ弱に思えるだろう。とはいえ積雪を想定していない環境では備えも貧弱だ。スコップの用意がなく、ベニヤ板やちりとりで苦労している姿を時折、見かける。
防災対策はどうだろう。中小企業では、避難計画や事業継続計画(BCP)を策定していないケースが少なくないという。災害の発生をイメージできないからだ。数年に一度の都会の雪のたびに、自社の対策を見直してはどうか。
豪雪をあなどることなく、しなやかに対応したい。それが強靱(きょうじん)な産業社会の第一歩だと思う。
「白い朝 ビルの入り口 にじむ汗」―。
(2018/1/24 05:00)