[ 政治・経済 ]
(2018/3/4 22:00)
【ベルリン時事】ドイツで第4次メルケル政権が発足することが4日、正式に決まった。メルケル首相率いる保守系のキリスト教民主・社会同盟と連立合意をまとめた第2党の中道左派・社会民主党が同日、党員投票の結果、大連立の賛成票が反対票を上回ったと発表し、最後の関門を切り抜けた。連邦議会(下院)で今月中旬に行われる首相指名選挙でメルケル氏が4選を決めた後、政権が始動する。
第3次メルケル政権でも連立を組んだ同盟と社民党は昨年9月の下院選挙で、それぞれ第1党、第2党の座を守ったものの、得票率は大幅に下落。その後、連立の枠組みが固まらず、政治空白の期間は戦後最長に達していたが、欧州の大国ドイツの政治停滞にようやく終止符が打たれる。
社民党の党員投票は全党員約46万人を対象に行われた。賛成が66.02%、反対が33.98%。投票率は78.39%だった。ショルツ党首代行は記者会見で、大連立の承認により「党再生に向けた力を得た」と歓迎した。メルケル首相は民主同盟のツイッターを通じ、「国の繁栄のために、引き続き(社民党と)協力できることを楽しみにしている」と述べた。
メルケル首相は選挙後、「安定政権の樹立が重要だ」と一貫して主張。少数与党政権に陥る事態を原則排除して連立の可能性を模索してきた。
首相が最初に着手した小規模政党2党との3党連立協議は、政策の溝が埋まらず、昨年11月に決裂。社民党は当初、下野を表明していたが、シュタインマイヤー大統領の説得を受け同盟との交渉に応じ、2月の大連立合意につながった。
メルケル首相は社民党と厳しい協議を余儀なくされ、重要閣僚ポストでは社民党がこれまで保持していた外相に加え、財務相も譲り渡した。一方、社民党内では大連立継続の是非をめぐる見解対立が最後まで根深く、方針がぶれたシュルツ党首は辞任。政権樹立と引き換えに、両党ともに痛手を被った。
両党は選挙戦以降、欧州連合(EU)改革など一部の外交政策で違いも鮮明になった。メルケル次期政権が国際舞台で存在感を発揮できるかは不透明だ。
(2018/3/4 22:00)