[ オピニオン ]
(2018/4/6 05:00)
トランプ米大統領が鉄鋼・アルミ製品の関税引き上げ措置を発動したことに端を発し、中国が報復措置を打ち出したことで米中間の貿易戦争の勃発が懸念されている。
米中間の貿易が停滞すると、世界経済全体が縮小する。経済協力開発機構(OECD)によると、米国に同調して欧州連合(EU)も関税引き上げに踏み切った場合、世界の貿易量は6%減少し、国内総生産(GDP)は1・4%下落するという。
米中の貿易戦争は当然、日本にも大きな影響をもたらす。米国向けの自動車や関連部品、中国向けのスマートフォン用の電子部品の輸出は大幅に減少する見込み。米中の景気が悪化すれば、その他の輸出も減少を免れない。日本のGDPがマイナスに落ち込む可能性もあるという。
やっかいなことに、世界経済の低迷がもたらす影響は金融市場にも及ぶ。先行き不透明感は安全資産の円買いを招き、1ドル=100円を割り込む円高が進行することも危惧される。日本にとっては有り難くないダブルパンチだ。
トランプ米大統領と習近平中国国家主席がこの騒動の“主役”とあって、安倍晋三首相の出る幕はないようだ。神風が吹いて、米中の貿易戦争を鎮めてくれることを祈るばかりだ。
(2018/4/6 05:00)