[ オピニオン ]

産業春秋/科技予算という推進剤

(2018/4/10 05:00)

見事な桜並木からきれいに花びらが散っていく。今年は平年より1週間ほど東京の開花が早かった。ピンク色の花びらが舞うのを見てウキウキした気分になるのはいつも通りだ。

2016年に大ヒットした『君の名は。』の監督である新海誠氏の作品の中で、桜の花びらは、秒速5センチメートルで落下するという。これが本当かどうかは別にして、花びらが落ちるのが、地球の重力の影響であることは確かだ。

では重力が働く月や人工衛星はなぜ地球に落ちてこないのか。それは地球の周囲を高速で回ることで、地球に引っ張られる引力と遠心力が釣り合うためだ。

地球を回る速度が遅くなるとどうなるのか。上空、数百キロメートルの軌道上の超小型衛星は薄い大気の影響で少しずつ速度を下げ、重力により地球に近づく。打ち上げてから数カ月ほどで大気圏に突入し燃え尽きてしまうこともある。

科学技術政策に目を向けると、政府は16年からの5年間で研究開発投資26兆円の達成を目指している。社会保障費が増加する中、科技予算を確保しイノベーションにつなげることが喫緊の課題だ。予算という推進剤がなければ日本は世界との競争の中で燃え尽きる。政府の科学技術への継続的な投資に期待したい。

(2018/4/10 05:00)

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