[ オピニオン ]
(2018/4/13 05:00)
春の訪れとともに、地震で甚大な被害を受けたローカル線で復旧のつち音が力強くなってきた。東日本大震災で被害を受けた岩手県の三陸鉄道は復旧工事中のJR区間の移管を受け、2019年3月に再出発する。地域発展の起爆剤となることを願ってやまない。
16年の熊本地震で被災した熊本県の南阿蘇鉄道は全区間の約6割が不通となった。同鉄道は雄大な阿蘇山の景色を楽しむトロッコ列車が名物だが、昨年夏の訪問時には短い区間で運行していた。
もともと少ない社員で運行してきたが、地震の影響で社員がさらに減った。同列車の車掌は「明日は運転士として乗務します」と話していた。ネックとなる復旧費は最大70億円。幸い国が9割超を負担する方針を掲げた。18年度中に復旧工事を本格化し、22年度中の全線復旧を目指す。
復旧を目指す2路線は80年代に乗客数の少ない国鉄特定地方交通線として廃止対象となった。地元は地域の交通手段を守るために立ち上がり、第三セクター鉄道として四半世紀以上運行を続けてきた。
近年は観光路線として活路を見いだしてきた直後の災害である。しかし復旧にかける熱意があったからこそ、国やJRの支援につながった。心からエールを送りたい。
(2018/4/13 05:00)