[ トピックス ]
(2018/6/19 05:00)
大阪北部で18日に発生した地震により、一部企業では営業や工場の稼働を見合わせた。設備の点検のほか、鉄道の乱れで従業員が出勤できないなどにより、企業活動にも影響が広がった。
■設備確認、追われる企業
サントリーホールディングスは京都ブルワリー(京都府長岡京市)と山崎蒸溜所(大阪府島本町)で操業を止めて設備点検を行っている。点検が終了すれば稼働するがいつになるかは未定。また両工場とも18日の工場見学は中止した。
明治は菓子の大阪工場(大阪府高槻市)や市乳の京都工場(京都府京田辺市)などの生産を止めて、設備の確認を行っている。確認が終われば再開するが見通しは未定。
ニチレイの加工食品子会社ニチレイフーズは冷凍食品を製造する関西工場(大阪府高槻市)で18日の操業を中止した。安全確認を行うほか従業員を帰宅させたためで、19日以降の稼働は未定。
コマツは地震の影響で、油圧ショベルなどを生産する大阪工場(大阪府枚方市)の設備点検が続いたため生産ラインを停止した。併せて協力会社の設備の確認も進めている。
東芝メモリの四日市工場(三重県四日市市)でも一部の製造装置が停止。生産活動への影響を精査している。
JXTGエネルギー子会社の大阪国際石油精製(大阪府高石市)は精製設備が地震で自動停止した。一両日中に復旧する見込み。
カネカでは交通機関の運転見合わせなどで大阪本社に出社できない社員が多数いた。大阪工場(大阪府摂津市)が地震発生時、全プラントを安全に停止したがその後、安全確認を行い操業を再開した。
日本触媒は交通機関の運転見合わせなどで大阪本社に出社できない社員が複数いたほか、地震発生時に吹田地区研究所(大阪府吹田市)が停電した。その後復旧している。
第一三共は高槻工場(大阪府高槻市)で換気ダクトが落下し、18日は稼働を取りやめた。19日以降の操業は設備点検結果の詳細を踏まえて別途判断する。武田薬品工業は大阪工場(大阪市淀川区)の設備への影響はなく操業もしたが、従業員に数人の軽傷者が出た。
機械工具商社のトラスコ中山は大阪本社(大阪市西区)、堺市堺区の物流拠点に被害はなく通常営業。ただ高速道路の通行止めなどで一部配送に遅れがあるという。
鉄鋼メーカー各社の製鉄所や製造所などでは設備の損傷や人的被害はなく、おおむね平常通り操業した。JFEスチールが西宮工場(兵庫県西宮市)の製造設備をいったん止めて点検するなど、揺れが大きかった地域の生産ラインを一時停止して調べるケースは一部にあったが、多くは無事を確認して操業を再開したという。
DMG森精機の奈良事業所(奈良県大和郡山市)も通常操業した。現地は震度5弱だったが建物に被害はなかった。顧客先にある工作機械などの被害状況の調査を始めた。川崎重工業は神戸本社(神戸市中央区)、神戸工場(同)などの「設備や稼働状況に影響はない」(コーポレートコミュニケーション部)とする。
■増員、顧客支援急ぐ
今回の地震被害への対応支援に乗り出す動きも出ている。
ジェイテクトは震度5強以上の地域にある工作機械の顧客企業に対して、人命や安否確認を実施したが、電話で連絡が取れないケースが多いという。地震の影響で工作機械の復旧が必要かも確認しており、復旧が必要な場合、サービス人員が向かうという。
京西テクノスの大阪事業所(大阪市阿倍野区)は、地震による影響で病院など医療機関から医療機器の修理依頼が増えることを想定し、周辺の事業所からエンジニアの応援部隊の受け入れを進める。
損害保険各社も保険金支払い対応のために動き始めた。東京海上日動火災保険や三井住友海上火災保険、損保ジャパン日本興亜は、それぞれ災害対策本部などを設置。三井住友海上火災保険の地震対策室は250人態勢だが、今後1200人規模に増員する予定。損保ジャパン日本興亜も契約者からの事故に関する連絡を円滑に受け付けるため、コールセンターのオペレーターを約60人増やす方針。
(2018/6/19 05:00)