[ オピニオン ]
(2018/7/4 05:00)
二酸化炭素(CO2)排出量の少ない電源を大幅に増やすための環境整備が必要だ。
政府は4日の閣議でエネルギー基本計画を改定した。今回の第5次計画では、将来の電源構成の比率の目標を維持したまま、地球温暖化対策としてのCO2削減の決意を強調した。
しかし現実とのかい離は、むしろ強まったと言える。計画では、太陽光発電などの再生可能エネルギーを主力電源化し、2030年に電源の22―24%を目指す。ただ、再生エネの大量導入が、コストと技術の両面で容易ではないことも知られてきた。
すでに一部地域では、好天の休日日中のように電力消費の少ない時間帯の余剰電力発生が問題になっている。都市部への送電や、電池や揚水発電を活用したエネルギー蓄積、風力やバイオマスなど他方式への転換が急がれる。ただ、これらは電力のコスト増加をもたらす。
原子力発電は「依存度を可能な限り低減」としつつ、30年に20―22%の比率とする。ただ旧式原発の廃炉が何件も決まる中で、仮に既存原発がフル稼働しても、この数字の達成は難しくなっている。
他方、電力自由化の進展とともに燃料コストの安い石炭火力の新規稼働が相次いでいる。その多くは原発の停止を補う役割を果たしているが、地球温暖化対策に対しては逆行している。基本計画では、非効率な石炭火力の「フェードアウト」という表現で決意を示した。方向性を真逆に変えるには、発電事業者とのあつれきも覚悟しなければなるまい。
今回の基本計画では、政府のエネルギーミックスの目標実現は「道半ば」と評し、将来に「野心的な伏線シナリオ」を想定する。ただ、どんなケースでも再生可能エネの比率拡大と、現実的な選択肢である原発の比率拡大は避けて通れない。いずれも燃料市況に左右されにくく、またCO2排出量抑制に役立つゼロエミッション電源であり、産業界も拡大に賛成の立場だ。現実と計画を近づけるための政策努力が求められる。
(2018/7/4 05:00)
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