[ オピニオン ]
(2018/9/5 05:00)
社長も役員も不在。インフラが崩壊した非常時に、どう情報を受け止め、行動に移すか―。大規模災害を想定して、さいたま市内で開かれた「BCM(事業継続マネジメント)訓練」を見学した。
企業や自治体、病院などに属する約40人が6班に分かれ、本部長役を決めて初動対応をロールプレーイングした。従業員の負傷や工場の被災状況、顧客からの問い合わせなど、ランダムに伝わる情報をカラーの付箋やホワイトボードで整理していく。
終了後、従業員の安否を最優先にすべきところ、負傷者を数えていない班が判明。「余白が目立つボードがあったり、身を乗り出すような切迫感が薄かったり」との厳しい指摘も。
今回はBCP(事業継続計画)を持たない事業所との想定。しかし埼玉県内でBCPを策定した企業は約1割にとどまる。主催した情報サービス会社のAGSは「西日本豪雨でも予想外に被害が拡大した。訓練を通じて意識を高めたい」と話す。
4日、列島を直撃した台風21号は、またもや各地に被害をもたらした。BCPなどの備えの有無が企業の命運を左右する。即座の判断や行動すべきことの順位付け、抱えすぎず作業を振り分ける能力は、経営に不可欠な要素ばかりだ。
(2018/9/5 05:00)