[ オピニオン ]
(2018/10/17 05:00)
農業や食品、外食、サービス、介護など、ロボット導入が難しいとされてきた分野で、商品開発が相次いでいる。半導体や自動車などの製造業分野に比べ、これらの分野は自動化への取り組みが遅れており、生産性が低く、パートや外国人労働力に頼らざるを得ない面も多かった。ロボ導入はこうした人手不足の状況を改善すると同時に、日本全体の産業競争力を高める起爆剤となる。バブル崩壊から約20年“失われた日本優位”を取り戻すためにも、政府は導入や開発への支援をもっと進めてもらいたい。
農業分野では、自動飛行ができる飛行ロボット(ドローン)の開発が進み、規制緩和の問題を別にすれば無人トラクターやコンバインの導入も視野に入っている。食品では総菜や和菓子など、ロボ導入が遅れていた部門でも商品開発が進み、切り身パック魚の骨を自動で抜き取るロボも登場。外食ではめんのゆであげやてんぷら調理、パスタ、コーヒーなどの食材で飲食店や流通系ロボット化が進む。
農産物や食品にとって、競争力の大きな決め手になるのが“価格”だ。居酒屋では1品298円の値段を320円にしたとたんに、客足が激減する。500円以下で食べられるワンコインランチも同様だ。上限価格帯の中で客購買をつなぎ止めようと、各社は生き残りのため必死の努力を重ねてきた。だが、ここを襲っているのが原料費と人件費の上昇だ。ここで値上げをすれば客離れを招くし、だからといってコストダウンをこれ以上、進める余地はない。
ロボ導入はこうした悪循環を断ち切る可能性を秘める。食材の下ごしらえや後片付け、重量物運搬など重労働職種をロボに代替できれば、人間はその分をサービスや品質向上に回す余裕が生まれる。社員が休日を増やすゆとりもできる。有能な人材確保のためロボ化は必須だ。
きょうから東京ビッグサイト(東京・有明)で、「ワールド・ロボット・サミット(WRS)2018」が開かれる。ここではロボットの可能性を身近に体験できる。
(2018/10/17 05:00)
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