[ オピニオン ]
(2018/11/5 05:00)
きょうは「世界津波の日」。日本の提案で2015年に決議案を採択し、制定された。日本でも5日は「津波防災の日」とされている。1854年の「安政南海地震」が起きた日にあたり、この地震による大津波に襲われたある町での逸話に由来している。
舞台は、和歌山県広川町。「安政南海地震」の際、浜口梧陵(儀兵衛)が稲の束(稲むら)に火をつけることで早期に警報を発し、避難させたことで、村民の命を救った、というのが『稲むらの火』の逸話のあらすじだ。
この物語は、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が記した『A Living God』という作品を読んで感激した和歌山の小学校教員である中井常蔵氏が翻訳した。
津波によって引き起こされる被害は、太古から後を絶たない。近年も、まだ記憶に新しい2011年の東日本大震災では、多くの人が犠牲になった。最近もインドネシアで5000を超える人が大波にのまれたばかりだ。
わたしたちは地震は日頃から経験している。しかし、津波の経験があるという人はまれだろう。『稲むらの火』は、津波への意識を高めるとともに、対策の重要性を強調した。いかに「先人の警鐘」を伝承していくかが問われている。
(2018/11/5 05:00)