産業春秋／憩いの「ラッキープラザ」

シンガポール屈指のにぎわいを見せるオーチャード・ロード。道の左右には高級デパートや一流ホテルが立ち並び、観光客で昼夜を問わずごった返す人気スポットだ。東京で言うと銀座中央通りに似た雰囲気が漂う。

そんな目抜き通りでひときわ目立つ庶民的なショッピングセンターが「ラッキープラザ」だ。食料品や雑貨、土産物、飲食店などがひしめき合う建物内は東南アジア特有の雑多さにあふれ、出張の度に立ち寄る日本人も少なくない。

先日訪れた際に不思議な光景を目にした。各階通路のそこかしこで女性たちが固まって井戸端会議を開いていたのだ。観光ツアーの団体客かと勘違いしたが、土産物屋の店員いわくフィリピンからの出稼ぎ家政婦だという。

平日はシンガポール人に雇われて家事をこなし、休みは日曜日のみ。憩いのひとときに皆集まって、心置きなく世間話やら愚痴やらに花を咲かせる。まさにシンガポールの井戸端だ。

日本も人手不足が深刻化し、政府は外国人労働者の受け入れ拡大に向け入管難民法などの改正案をまとめた。ただ、ソフト・ハード両面で移民受け入れの準備はまだまだ不十分だ。まずは日本のラッキープラザを銀座のどこにするかを決めないといけない。