[ オピニオン ]
(2018/12/6 05:00)
大詰めを迎えた税制改正で、注目されるのが地方法人2税問題。与党は東京都の税収を千億円単位で国に移し、再配分する仕組みを検討中だ。憤懣(ふんまん)やるかたないのは都知事の小池百合子さん。
企業が集中する東京の税源“偏在”は長く問題視されてきた。都によれば過去30年間に国に拠出した額は約6兆円。さらに上乗せする巨額移転は「不合理だ」と訴える。
「五輪・パラリンピックもある。(今後の)高齢化や防災対策の費用も、かつてないボリュームで必要」と都財政の課題を列挙する。しかし規模こそ違え、どの自治体も同じ問題を抱える。民間の再開発ラッシュが続く東京は、恵まれている印象をぬぐえない。
元日本取引所グループ最高経営責任者(CEO)の斉藤惇さんは、バブル崩壊後の日本を回顧し「国民が感じる以上に貧しくなった。経営者を育ててこなかった」と指摘。今必要なのは「海外の優秀な人材を集めること」という。
小池知事は一面で「東京だけが輝けばいいとは思わない」と遠慮する。だが東京が沈没すれば日本の魅力も失われ、人材も集まらない。「世界の都市間競争で東京が負けるわけにはいかない」という強気の発言の方が、産業界の共感を呼ぶはずだ。
(2018/12/6 05:00)