[ オピニオン ]
(2018/12/21 05:00)
関西国際空港と大阪国際(伊丹)空港、神戸空港の最適運営の在り方を、関西財界や地元自治体で議論する「関西3空港懇談会」(3空港懇)の動向が注目されている。9月の台風21号で関空の空港施設が浸水し一時閉鎖に追い込まれ、関西経済へも影響を与えた。さらなる災害の備えや、伊丹と神戸の国際化対応など規制緩和も、真剣に議論すべき時がきている。
3空港懇の調整役を担う関西経済連合会は、12月24日の開催を決めた。関西財界や関連する自治体に加え、3空港の運営会社である関西エアポートも議論にかかわる。オリックスと仏バンシ・エアポートが主要株主となる関西エアポートは、2016年4月に関空と伊丹空港、18年4月からは神戸空港を、それぞれ長期運営する形で国などから任された。
関西エアポートが3空港の中で、運営の基軸にするのは関空だ。関空は発着枠で余力がまだあるとし、関空の活用をまず重視しつつ、3空港の最適運営を模索している。
ただ関空の被災を機に、関西3空港として関空にしかない国際線の在り方が問われているのも事実だ。9月に関空の国際線再開が遅れていた段階で、国の意向もあり、機能補完のため特例的に国際線の一部を伊丹、神戸の2空港が受け入れる合意が行われた。関空が想定より早期復旧を果たし、2空港での国際線実現はなかったが、代替運用が認められた事実は大きい。
ここ数年の関西経済は、アジア方面からの訪日外国人(インバウンド)効果で活気づく。2025年に大阪・関西で国際博覧会(万博)の開催が決まり、万博開催地の人工島・夢洲(ゆめしま)では、統合型リゾート(IR)の誘致計画もあり、関西経済活性化へのインパクトは高まる。19年6月に、主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)も大阪で開かれる。海外からのアクセスで西日本の玄関口と位置づける関空の役割向上に加え、関西3空港がそれぞれ付加価値を高める方向性を議論から見いだせるか、関西財界のリーダーシップが問われる。
(2018/12/21 05:00)