[ オピニオン ]
(2019/2/18 05:00)
経団連が昨年9月に提言した税制改正要望に、以前には見かけない項目があった。「税務分野におけるデジタル・ガバメントの推進等」。異例ながら、これを要望の上位に掲げた。
具体的には連結納税の手続き緩和や、自治体ごとに異なる固定資産税の納税通知書・課税明細書の書式統一・電子化など。加えて電子帳簿保存にかかわる手続きの見直しも求めた。
「経理部など第一線の負担を軽くするのが目的。金融機関を中心に強い要望があった」と経団連担当者。手続きの合理化や電子化なら、減税項目の対象外の企業も恩恵がある。提出書類の束に泣かされている実務家には切実な問題だ。
昨年末にまとまった与党税制大綱は、末尾に近い「納税環境整備」の中に経団連要望に応じた見直しを盛り込んだ。ただ同項目の目玉としてメディアに説明したのは「情報照会手続きの整備」。悪質な無申告者などをマイナンバーなどを使って国税庁が特定し、その情報を必要な第三者に提供する制度の新設だ。
同じデジタル情報の活用でも“お上”と納税者の意識の間には、やはり溝がある。適切な納税は事業者にとって当然だが、それがスムーズにできる仕組みにも気を配るよう、改めて当局にお願いしたい。
(2019/2/18 05:00)