[ オピニオン ]
(2019/4/1 05:00)
「平成」が30日で幕を閉じようとしている。この時代にクローズアップされたテーマをシリーズで振り返る。その課題を浮き彫りにすることは、新たな時代の日本の針路につながるからだ。1回目はグローバル化をとりあげる。
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産業界にとって、平成が始まった1989年は「日米構造協議」元年だった。繊維交渉以来、幾度かの衝突を経た日米間の通商問題は、構造協議とその後の自動車、半導体、金融サービスなどの合意で「総仕上げ」(財界首脳)に向かう。
それは60年代の資本自由化以降も各種措置で守られ、国内市場に立脚してきた日本企業が、海外との戦いに裸で向き合うようになったことを意味していた。産業界は、それまでの「加工貿易立国」という海外とのつきあい方から、世界市場を相手にしたビジネスへと転換を迫られた。ヒト・モノ・カネ・情報が国境を越えて行き来する「グローバル(地球規模)」時代の本格的な到来だ。
89年の世界の時価総額ランキングでは、トップ20社のうち日本勢が14社を占めていた。グローバル化しても十分勝算があるように思われた。しかし海外のビジネス慣行を日本企業が取り入れるには、多くのあつれきが避けられなかった。
欧米諸国ではあまり耳にしない「グローバルスタンダード(世界標準)」という言葉が一般に使われ始めたのは90年代末、平成10年以降のことだ。企業価値のあり方、会計基準、株の持ち合い規制など、国際ルールとの落差に日本の経営者は苦しみ、資産状況は悪化した。80年代に世界をリードした「日本的経営」が、ネガティブな意味で語られるようになったのは遠い昔のことではない。
今もこの落差は、為替変動とともに日本企業を苦しめている。しかし平成時代を経て、国際ルールに準じながら世界市場で戦うことは中小企業も含めた産業界の常識となった。次の時代には、ひとつでも多く「世界で勝てる企業」に登場してもらいたい。
(2019/4/1 05:00)
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