[ オピニオン ]
(2019/4/4 05:00)
東日本大震災から8年。東北地域からの先端研究開発に新しい動きが具体化しつつある。刻々と変化する物質の状況を原子・分子レベルでとらえる「巨大な顕微鏡」施設が2023年度にも東北大学青葉山新キャンパス内で動きだす。
震災の翌年から東北大など東北の7国立大学の研究者らが文部科学省に呼び掛けた計画だった。現在は国のプロジェクトとして、東北を飛び越え「日本」の次なる研究開発を支えようとしている。
放射光施設の空白地帯である東北地域への設置を目指した当初の計画名は「東北放射光施設」。今では「次世代放射光施設」に変わった。復興を突き抜けた新たなステージに東北は歩を進めている。
次世代放射光施設は、官民地域パートナーシップの新しい運営で取り組む。産学官で構成する「光科学イノベーションセンター」を代表に、東北大や東北経済連合会などが参画。大手のほか、東北の中小企業が施設を利用する仕組みづくりも進む。
3月11日、東経連が山形市では初めて開いた中小企業向けセミナーで共同利用の仕組みを説明。中小の参画を促すPRにも熱が入ってきた。「ナノの世界を見る光」を東北の企業がどれほど使うのか。今後の盛り上がりを期待したい。
(2019/4/4 05:00)