(2019/10/22 05:00)
きょうは「即位礼正殿の儀」。今上天皇が皇位を継承したことを国の内外に示す日である。約180カ国の元首らが出席する。わが国最大の外交式典でもある。
「皇室外交」が適切な言葉かどうかは別にして、日本外交にはいまや不可欠。先ごろ秋篠宮佳子さまが外交関係樹立150周年のオーストリア、ハンガリーを訪問された。市民に感想を聞くと「プリンセスの着物姿がとてもクールだった」とにっこり。外交とは一人でも多くの日本ファンを増やすことに他ならない。
しかしながら天皇や皇族は中立的な発言に腐心される。賓客を迎えたり、海外を訪れたりする際の応対は気苦労と自制の連続。戦後の昭和、平成の天皇は個を飲み込み配慮をされてきた。好きなスポーツ選手がいても個人名を挙げられることはなかった。
オードリー・ヘプバーン主演の映画『ローマの休日』がよぎる。王女が「訪問先で一番好きな町はどこですか」と聞かれ「どこにもそれぞれ良いところがあります」と返す。その後、急に「ローマです。やはりローマです」と叫ぶようにいう。王女ではなく個人としての答えだった。
即位礼を迎えられた令和の天皇。「それはローマです」と率直に発言される時代になるだろうか。
(2019/10/22 05:00)