(2020/5/12 05:00)
新型コロナウイルスの緊急事態宣言が延長され、外出自粛が続く東京の繁華街。一部店舗は時間を短縮するなどして営業をはじめたが、まだ週末はシャッターを下ろすケースが目立つ。
昔は都会でも土日や夜間に営業する店は限られていた。利便性が高まったのは、郊外中心に展開していたコンビニエンスストアや外食チェーンが小型店舗を開発し、都心の中小ビルに出店する1990年代以降のことだ。
東海道新幹線が本数を大幅削減する。これまで駅施設の改良などで着実に運行密度を上げてきたが、87年のJR発足時に近い水準まで一気に時間を巻き戻してしまった感がある。
64年の開業当初は「ひかり」「こだま」とも毎時1本ずつ。今でも諸外国の高速鉄道の運行密度はその程度が主流だ。線路に多くの列車を集中して走らせる新幹線の効率はケタ外れに高い。
限られた土地や建物を高密度で使うことで、日本の便利さや快適さは成り立っている。密閉、密集、密接の「3密」を避けるコロナ対策は、自ら得意技を封じたに等しい。“ポスト・コロナ”として、ソーシャルディスタンスを柱とした「新しい生活様式」を実現するには、ICTを積極的に使う新たな利便性を見いださなければならない。
(2020/5/12 05:00)