(2020/5/26 05:00)
新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言が、北海道、首都圏の1都3県で解除され、全国で解除が完了した。我々は経済社会活動と感染抑制を両立させる、「ウィズコロナ時代」へと踏み出すことになる。
重要なのは、新型コロナはまだ存在しているという意識を持ち続けることだ。
社会的距離を確保し、マスクや手洗いを習慣づけるなど、感染抑制への自主努力は続けていきたい。企業はテレワークや時差通勤、オフィス・工場での人の配置など、急ごしらえで対応したものを常態化するよう、制度整備を進めていくべきだ。
経済活動が再開しても、飲食店や小売店、宿泊業などは売り上げの急回復は期待できない。製造業も海外での感染拡大で市場縮小の悪影響は避けられない。事業の存続と雇用の確保を最優先に、労使で話し合い、とるべき対応に知恵を絞ってもらいたい。人材不足と余剰が同時に起こっている。一時的に異業種へ出向するといった柔軟な人材活用も模索すべきだろう。
医療体制の充実が大きな課題だ。いずれ感染拡大の第2波は必ず到来すると言われている。感染者を早期に発見し、隔離するという感染症対策の大原則を徹底するには、病床の確保と検査体制の拡大が欠かせない。民間や大学などの検査能力を有効活用するとともに、迅速キットの配備などを急ピッチで進める必要がある。
治療薬も特例承認されたレムデシビルに加え、日本が開発したアビガンやオルベスコ、フサンなどの治験を進め、症状に応じた投薬ができるようにしていきたい。ワクチン開発も国内で積極的に進めてほしい。世界で開発競争が激化するが、世界中の需要を賄える量が確保できるかは不透明。自国で開発・供給する体制を構築すべきだ。
政府は27日に第2次補正予算案を決定する。医療体制強化と経済支援に前回補正と合わせ200兆円超の空前絶後の事業規模となる。何より早期の実施が求められる。コロナ禍で受ける傷が小さいほど、日本が回復へ踏み出す力は大きくなる。
(2020/5/26 05:00)
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