(2021/1/6 05:00)
経団連の欧州派遣団に同行取材した時のこと。ある国の首脳と経団連会長・副会長との会談は警備が厳しく、記者も事務方も同席できなかった。何が話し合われたか分からない。
「じゃあ俺が記者さんに説明するよ」と気軽に言ってくれたのが、新日本石油(現ENEOSホールディングス)会長の渡文明さんだ。現役の財界人が裏方仕事であるブリーフィングをしたのは異例の対応だろう。
渡さんのサービス精神のお世話になった関係者は数知れない。母方の実家である造り酒屋の銘酒を酌み交わしたり、マージャンに誘われたり。経団連の広報委員長として自ら各界の著名人にインタビューし、機関誌に連載したことも。
経団連ナンバー2である審議員会議長の頃。会長選びが難航すると「いよいよ俺の出番か?」とちゃめっ気たっぷりに周囲を煙に巻いた。もともと「産業界のトップは石油業界のような輸入主体の会社ではなく、輸出でカネを稼ぐ企業であるべきだ」が持論で、野心あっての発言ではなかった。
若い頃はすご腕の営業マンだった渡さん。その人間的魅力は小さな体を大きく見せ、自社を育てた業績とともに多くの人の記憶に残る。急逝が惜しまれてならない。
(2021/1/6 05:00)
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