(2021/1/15 05:00)
個人データ流通の阻害要因となっている「2000個問題」を早期に解消すべきだ。
政府は先月、個人情報保護制度の見直しに関する最終報告をまとめた。国、地方、民間で異なる個人情報の定義を統一し、個人情報保護委員会が一元的に監視、監督する体制に改める。
氏名や住所など個人を特定できる情報は、公共部門と民間部門で定義が異なる。また、民間事業者向け、国の行政機関向け、独立行政法人向けにそれぞれ個人情報保護法があり、さらに各地方自治体向けの条例がそれぞれある。情報を取り扱う主体によって規定や運用がばらばらになっている。いわゆる個人情報保護の「2000個問題」と言われ、個人データの流通を阻害している。
監視・監督体制についても、総務省が国の行政機関、個人情報保護委員会が民間事業者などと分かれており、一元化の必要性が指摘されていた。今回の見直しはこうした問題の解消に向けた一歩と言える。政府は18日召集の通常国会に関連法案を提出する方針だ。
一方で最終報告は「必要最小限度の独自の保護措置」を許容した。例えば、LGBT(性的少数者)や生活保護受給に関する情報など、地方自治体が保有する情報には、取り扱いに特別な配慮が求められるものもある。個人データ流通の円滑化を妨げないよう、保護措置は「必要最小限度」にするのが肝要だ。
経団連が政府の最終報告に先立ってまとめた提言では、独自の保護措置を地方自治体に認める場合には、「新たに制定される個人情報保護法において、厳格な要件を定める必要がある」と指摘。その上で、「条例の上乗せ・横出しのあり方を含め、規律の実効性を確保すべきだ」とした。条例の上乗せや横出しが頻発すると、2000個問題の解消はままならない。
新型コロナウイルスは行政機関や地方自治体間のデータ連携の課題を浮き彫りにした。日本のデジタル化の遅れを取り戻すためにも、個人情報を守りながらもデータ利活用を円滑にする制度運用が求められる。
(2021/1/15 05:00)
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