社説/工作機械受注回復へ 潜在需要掘り起こす工夫を

(2021/2/18 05:00)

工作機械市場が回復の兆しを見せている。コロナ禍を乗り越え、成長分野を見据えた意欲的な需要開拓を期待したい。

日本工作機械工業会(日工会)がまとめた1月の受注実績(速報値)は前年同月比9・7%増の886億3100万円だった。前年同月比は、26カ月ぶりにプラスとなった20年11月以来、3カ月連続で増加した。2020年は10年ぶりの1兆円割れと市場の収縮に苦しんだが、中国を筆頭に回復は顕著だ。

ただ、市場の勢いに地域差はある。1月の受注総額のうち、外需は622億6400万円で同21・6%増だったのに対し、内需は263億6700万円で同10・9%減と26カ月連続で前年を下回った。内需は自動車業界を中心にコロナ禍による業績悪化に伴い設備投資への慎重姿勢が続く。外需も北米では回復が遅れている。

それでも需要は徐々に回復し、年央から本格回復するとみる業界関係者は多い。半導体需要の急増にあわせ、関連の設備投資需要も急拡大している。電気自動車(EV)、風力発電向けなど今後本格投資が期待される案件も多い。

自動化対応やデジタル変革(DX)の活用で、ユーザーへの提案の幅も広がっている。各社がコロナ禍にもかかわらず開発の手を緩めず、新規需要を取り込む意欲的な新製品・新技術を多数投入しているのは心強い。

さらにコロナ禍への対応にも、経験を積み自信を深めている。商談や出荷前にユーザーが製品を確認する「立ち会い」では、コミュニケーションツールを活用した遠隔(リモート)での実施が定着した。オンラインの展示会開催など新たな販売促進策にも、改善すべき点はあるものの、一定の手応えを感じているようだ。

得意とする加工分野や主要ユーザーの業種によって、個々のメーカーには受注の好不調の差があるだろう。しかし新たな価値を生む従来にない生産設備への需要は増えていく。市場回復を待つのではなく、潜在需要を自ら掘り起こす一層の工夫と努力を期待する。

(2021/2/18 05:00)

総合2のニュース一覧

おすすめコンテンツ

「現場のプロ」×「DXリーダー」を育てる 決定版 学び直しのカイゼン全書

「現場のプロ」×「DXリーダー」を育てる 決定版 学び直しのカイゼン全書

2025年度版 技術士第二次試験「建設部門」<必須科目>論文対策キーワード

2025年度版 技術士第二次試験「建設部門」<必須科目>論文対策キーワード

技術士第二次試験「総合技術監理部門」択一式問題150選&論文試験対策 第3版

技術士第二次試験「総合技術監理部門」択一式問題150選&論文試験対策 第3版

GD&T(幾何公差設計法)活用術

GD&T(幾何公差設計法)活用術

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

Journagram→ Journagramとは

ご存知ですか?記事のご利用について

カレンダーから探す

閲覧ランキング
  • 今日
  • 今週

ソーシャルメディア

電子版からのお知らせ

↓もっと見る

日刊工業新聞社トピックス

セミナースケジュール

イベントスケジュール

もっと見る

PR

おすすめの本・雑誌・DVD

ニュースイッチ

企業リリース Powered by PR TIMES

大規模自然災害時の臨時ID発行はこちら

日刊工業新聞社関連サイト・サービス

マイクリップ機能は会員限定サービスです。

有料購読会員は最大300件の記事を保存することができます。

ログイン