(2021/2/22 05:00)
日銀は3月の金融政策決定会合で、現行の大規模金融緩和策を点検した結果を公表する予定。株高基調を支えてきた日銀による上場投資信託(ETF)購入のあり方が焦点の一つになる。株価がバブル期並みに上昇した今、柔軟な購入姿勢に転換し、緩和余地を残しておきたい。
日銀はコロナ禍で沈んだ株価を下支えするため、2020年3月にETFの購入目標を年6兆円から12兆円に倍増した。日米欧の金融緩和とコロナ禍対策の経済対策がマネーを株式市場に誘導し、同年3月に1万6000円台だった株価は倍近い3万円前後で推移している。“官製相場”がバブルを誘発したと形容する向きもある。
日銀のETF購入残高は同年末に時価で約45兆円に達し、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)を上回る国内最大の株主になったとされる。
有識者の中には、株価形成機能をゆがめかねない日銀による今後のETF購入を懸念する声も聞かれる。また株価が一転して暴落する局面に陥れば、日銀の財務健全性に影響を及ぼすとの指摘もある。
ただ、今回の政策点検で緩和縮小と受け取られる表現を盛り込めば海外投資家が落胆し、上昇局面にある株価に悪影響を及ぼしかねない。といって株価がバブル期並みまで上昇した中、むやみに購入残高を増やせないジレンマを抱える。
日銀はETFの購入にメリハリをつけることで、金融緩和策を継続的・効果的に運用したい意向だ。20年は2%の物価上昇目標達成に向け、株価上昇局面でもETFを購入することがあったが、今後は大幅な下落局面に限って購入するなど柔軟な運用を視野に入れているとみられる。現行の大規模金融緩和策の枠組み内の微調整だが、政策効果を期待したい。
コロナ収束後に各国の金融緩和が縮小し、実体経済を反映した株価に近づく調整局面を迎えることも想定される。日銀は金融緩和策の手詰まり感を払拭(ふっしょく)する上でも緩和余地を残し、潜在的なリスクに備えたい。
(2021/2/22 05:00)
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