(2021/3/30 05:00)
「ランサムウエア」と呼ぶ、身代金要求型ウイルスによる被害が製造業に広がっている。コロナ禍でリモートワークが常態化する中、サイバー空間はコンピューターウイルスの猛威が新たな局面に入っていることを忘れてはならない。
ランサムウエア攻撃は、感染したパソコンのファイルなどを暗号化してアクセスできない状態にして、復旧の代わりに金銭を要求する。対策は重要データを事前にバックアップしておくのが有効とされるが、攻撃者は標的を逃さない。
ウイルスの侵入ルートから機密データや顧客情報などを盗みだし、身代金を支払わない場合、窃取したデータを公開サイトでさらすと脅迫する。こうした二重の脅しがコロナ禍において増えている。
米IBMがまとめた2020年のセキュリティー事象の調査によると、ランサムウエア攻撃はセキュリティー事象全体の23%と最も多く、しかも二重の脅しが59%に及んだ。中でも製造業へのサイバー攻撃はコロナ禍で急増。攻撃件数を業種で比較すると、20年は製造業が金融業に次いで第2位となり、19年の8位から大きく順位を上げた。
注目は製造業に対するサイバー攻撃のうち、21%をランサムウエアが占めたことだ。製造業が狙われた背景について、IBMは「システム停止に対する耐性の低さ」を指摘する。停止の影響が生産設備などへと波及すると、ダウンタイム(停止時間)当たりの損失が大きく、格好の標的となる。
ランサムウエア攻撃への対処法は、データのバックアップをオフラインで安全に保管することや、高度な多層防御策が推奨される。二重の脅しに対しては事前に対応計画を準備することが必須だ。IBMは今回の調査から「ランサムウエア攻撃にとって、製造業は『有益な』業種である」と警鐘を鳴らす。
コロナ禍でサイバー空間での脅威が広がる中、ランサムウエアなどの金銭目当ての攻撃が製造業をはじめ全産業に広がっている状況を認識し、対処策を急ぐべきだ。
(2021/3/30 05:00)
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