(2021/5/25 05:00)
ポストコロナ時代を見据え、地域経済を支える地方銀行が早期に経営基盤の強化に取り組むことが求められる。再編や業務範囲の拡大など選択肢は提示されている。中小企業の資金繰りに十分に応えられる環境整備を自ら検討してもらいたい。
地銀・グループ77社の2021年3月期決算は、ほぼ半数が減益か赤字に転落した。地方で深刻な人口減少、低金利、さらにコロナ禍が業績悪化に拍車をかけた。中小企業への融資は増えたが、コロナ禍対策の実質無利子・無担保融資に資金需要が向かったことが一因する。都道府県が国の補助を受けて利子補給し、元本は信用保証協会が保証する仕組みで、地銀にリスクはない。ただ申請は3月末に期限を迎えており、今後は貸し出しリスクに対峙(たいじ)することになる。地銀は財務基盤の強化がこれまで以上に問われる。
地銀に経営統合を促す施策が相次いでいる。日銀は経営統合や経費削減に取り組む地銀に対し、日銀に預ける当座預金に年0・1%を上乗せする。同一県内の地銀合併を認める独占禁止法特例法も20年11月に施行された。5月19日には改正金融機能強化法も成立し、合併・再編に伴うシステム統合・店舗統廃合などの費用の一部に交付金が支給される。
地盤がともに同じ青森県である青森銀行とみちのく銀行は、独禁法特例法に背中を押されて経営統合を検討する。だが数合わせの経営統合には効果がないとの指摘や、政府・日銀の施策に魅力を感じずに独自路線を貫く地銀は多い。異なる地域の地銀が連携する動きもみられる。
こうした地銀には業務範囲拡大の道が開かれた。子会社を通じて、自社開発したITシステムを外部販売できるほか、企業の経営支援を目的とした人材派遣業にも取り組める。地域活性化に資する企業への全額出資も可能になった。
地域経済は人口減、後継者問題、デジタル変革(DX)への対応など課題が山積し、地銀は大きな役割を担う。まずは地銀再生に道筋をつけ、コロナ禍後の地方創生につなげたい。
(2021/5/25 05:00)
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