産業春秋／全社員にＰＣＲ検査

コロナ禍の収束が見通せない中、誰もがいつ感染するかもしれない不安に駆られている。政府や行政の「不要不急の外出は控えるように」という注意喚起は分かっていても、仕事のためにこわごわ出社しているビジネスマンは少なくない。

そんな不安を解消する取り組みを実践している企業がある。バルブメーカーの金子産業（東京都港区）は、全従業員約１００人にＰＣＲ・抗原検査を毎週実施し続けている。中村善典社長は「月曜日に検査し、すぐに結果が判明するため、社員は毎週感染のないことを確認しながら仕事ができる」と説明する。

ＰＣＲなどの検査料金が下がってきたとはいえ、全従業員を毎週検査するため関連費用は負担が大きい。それでもコスト増以上にメリットがあることを実感している。

社員の健康を守るのはもちろん、社員の家族も合わせて見守ることができる。例えば父親が毎週検査を受けて非感染であれば、家族が感染した場合に別の経路を探すことができる。

この取り組みを始めたことで「人を思いやる気持ちが社員に強くなってきた」と中村社長は感じている。厳しい環境だからこそ、不安がるだけでなく「思いやり」を忘れずにいたい。