(2021/8/10 05:00)
すべての世代にワクチン接種を促すためにも、接種後の行動指針を早期に示す必要がある。
新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない。感染の過半数は30歳以下の若者が占めている。ただ、若者を一方的に責められない。彼らは1年半もの間さまざまな制限や将来への不安を抱えながら生活してきた。若者の気持ちに寄り添いながら、行動範囲を抑えるよう粘り強く訴えかけたい。
ワクチンの接種率拡大が決め手になるのは間違いない。足元では供給に遅れが生じているが、政府は9月には十分な量が確保できるとしている。
接種を希望する人に一日でも早く接種する体制を整えることが重要だ。同時に今後課題となるのが、若者への接種の促進だ。各種の調査でも若者のワクチンへの忌避感は強い。副反応への正しい情報提供とともに、国民の一定割合以上が接種することで、社会経済活動が再開し、行動の自由も増えていくことを具体的に示すことが必要だ。
日本が公的接種で使うワクチンは、デルタ株にも発症の予防や重症化を抑制する効果は十分にあると言われている。
接種が完了した人がとるべき行動指針を作成することは、各業界で新たな対応策を考える手がかりになる。マスクの着用が必要なのはどんな場面か、人との間隔の取り方、イベントの開催基準、宴席のあり方など。
やみくもに接種を強要することはあってはならない。それよりも、制約を緩和する具体的な方向性を見せることの方が、国民の心を動かすことができる。
接種が先行する国では、当初はマスクをはずした人々が街中を闊歩(かっぽ)し、レストランで肩を寄せ合い飲食する映像が届いていた。デルタ株の感染拡大で2回の接種後にもブレークスルー感染が増加し、マスク生活に戻るなど一進一退ではあるが、ウィズ・コロナの中でも一歩前に踏み出すための目安が必要だ。
緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が8月末まで続くが、解除後の社会生活をどう進めていくのか。今のうちから準備に努めてもらいたい。
(2021/8/10 05:00)
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