(2021/8/17 05:00)
新型コロナウイルス感染症の感染者数拡大や医療体制の逼迫(ひっぱく)に歯止めがかからず、景気の足踏み感が強くなっている。景気を押し上げるには従来のコロナ対策だけにとどまらず、思い切った対策を打ち出すことが必要なのではないか。
内閣府が16日に発表した2021年4―6月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、前期比0・3%増、年率換算で1・3%増と2四半期ぶりで増加した。1―3月期の大幅減少の後にしては増加幅が小さく、ゼロ成長といった印象だ。
海外経済の持ち直しに伴って、電気機械、生産用機械、半導体を中心とした輸出が前期比2・9%増となったほか、企業の設備投資も堅調で同1・7%増とプラス成長に寄与した。
個人消費は4月に4都府県に緊急事態宣言が発令され、その後も期間延長や対象地域の拡大で減少も予想されたが、前期比0・8%増と伸びて、GDPを下支えした。
7―9月期は、7月に感染者数の急拡大を受けて4度目の緊急事態宣言が出され、期間延長やまん延防止措置の追加で個人消費は伸び悩む見込み。しかし輸出、設備投資の企業部門が堅調なため、小幅ながらプラス成長となる可能性が大きい。
海外では、米国の4―6月期GDPは年率6・5%増、英国は同20・7%増と大きく伸びた。両国ともワクチン接種の進展により経済活動の制限が緩和され、個人消費が大幅に伸びてGDPを押し上げた。ワクチン接種の進展度合いが成長率に大きく影響することは明らかだ。
わが国もワクチン接種の加速で経済活動の正常化を進め、個人消費の回復を図り、今年中にGDPをコロナ前の水準に戻すというシナリオを描いていた。しかし、ワクチン接種は普及が遅れ気味で、感染拡大のピークが見えない。さらに集中豪雨の被害が全国的に広がり、消費拡大の阻害要因になっている。
景気回復には企業への支援金、協力金などの財政支出を継続するとともに、ワクチン接種の加速や人流削減に新たな対策を打ち出す必要があろう。
(2021/8/17 05:00)
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