(2021/8/24 05:00)
第16回夏季パラリンピック・東京大会が24日開幕する。万全の感染症、暑さ対策で安全・安心な大会を実現するのはもとより、産業界は障がい者雇用の促進を考える契機にしたい。
今大会は9月5日までの12日間にわたり、22競技・539種目で熱戦が繰り広げられる。160近い国・地域から総勢約4400人が参加。出場予定の日本選手団255人は全22競技に挑む予定だ。
日本選手の多くは大手から中堅・中小企業、自治体、団体などさまざまな職場に在籍する。自身の不断の鍛錬は言うまでもなく、職場や関係者の理解・協力があって、晴れの舞台への出場につながったのだろう。
1964年の東京五輪を4年後に控えた60年、「身体障害者雇用促進法」が制定され、76年に事業主による雇用が義務化された。87年には知的障がい者が適用対象に加わり、18年に法定雇用率が定められた。
政府は障がい者雇用を促すため、各種補助金を用意している。ハローワークなどからの紹介で雇用を引き受けた場合や、試行的に雇い入れる場合などに助成金が支給される。また厚生労働省は、優良な取り組みが認められる中小企業を認定する「もにす認定制度」を20年度に創設。企業と障がい者が「ともに進む」の意味を込めている。
民間企業の間では、障がい者とIT企業をマッチングさせるサービスも登場している。人手不足に悩む業界と求職者を円滑に結びつける取り組みは今後も加速していきたい。
ただ職場でのトラブルも散見される。厚労省の20年度調査では、ハローワークに寄せられた障がい者への差別・合理的配慮に関する相談が246件、ハローワークによる事業主への助言も54件を数えた。表面化していない事案もあるはずだ。職場と障がい者の相互理解を深める環境を早期に整えたい。
日本は少子高齢化に歯止めがかからず、構造的な人材難の状況にある。障がい者が持つ能力を正当に評価し、有効に発揮してもらうことは、持続的成長に向けた解の一つになる。
(2021/8/24 05:00)
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