(2021/9/17 05:00)
“選挙の顔”ではなく、混沌の時代を切り開いてくれるリーダーを選んでほしい。
自由民主党の総裁選が17日に告示される。事実上の“首相選び”であり、投票権を持たない一般国民にとっても大きな関心事である。
個々の候補者の政策にも耳を傾けたいが、産業界が期待しているのは、安定した政治基盤を確立し、意思決定できるリーダーである。国民の大多数が賛同する政策だけを実施すれば世論の批判は小さいかも知れない。しかし、そうした政権が続けば日本の財政はさらに悪化し、デジタル変革(DX)は遅れ、世界情勢の変化に取り残される。
もちろん、政策決定に当たっては国民各層の意見を広く聞き、現実をよく見てもらわねばならない。国民の望みは日本の平和と繁栄を持続することだ。産業界のニーズも同じである。そのためには、政策は経済最優先であるべきだ。
ただ、そうした政策の中には国論のまとまりにくいものがある。地域差や年齢層による要望の違いも、財政面での制約も小さくない。合理的な根拠を示しつつ、反対論を粘り強く説得し国としての意思決定ができる政府であってほしい。
総論としての賛同は得られても、各論になるほど意思決定は難しい。エネルギー政策や脱炭素、防衛政策、デジタル化の推進など、決断を先送るほど将来世代にツケを残してしまうことになる。新型コロナウイルス感染症対策には巨額の国費投入が続いており、いずれはこれも収束を考えねばならない。
国民生活はコロナ禍で大きく傷ついており、救済を求める声が強い。しかし生活保障に国費をバラまくことだけが答えではないはずだ。デジタル化をはじめとする変革を進め、強靱で企業活動をしやすい産業社会を構築してもらいたい。
菅義偉首相は改革のメニューを打ち出したものの、それを実行する政治基盤を獲得できず、世論の批判の前に退陣する結果となった。次のリーダーには目下の混迷を打開する意思決定が求められる。
(2021/9/17 05:00)
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