(2021/10/12 05:00)
換気のために自宅の窓を開けておいたら、キンモクセイの甘い香りが漂ってきた。近所に背丈が2階に届くほどの古木があり9月にも咲いた。「最近は二度咲きが珍しくない」と持ち主はいう。
和歌山大学の研究チームが温暖化の影響を調べる実験を行った。野外の気温より3度C加温したチャンバー内で育てたキンモクセイは、開花時期が遅れたり回数が増えたりする現象がみられた。
西日本は季節外れの残暑が続き、九州では10月の真夏日連続記録を更新したところもある。実験結果だけでは二度咲きが温暖化の影響とは結論付けられないが、気温上昇との関係は濃厚のようだ。
中国原産のキンモクセイは日本では花を咲かすが実はつけない。挿し木や取り木で増える。江戸時代に雌株より多くの花を咲かす雄株だけ輸入したため交配が成立しない。別離への追憶が遠くまで香りを届かせるのか。
開花期間は短く、落花は金粉を施した蒔絵(まきえ)のように樹下を染める。わずかな命のきらめきがつるべ落としのような秋の日によく映える。二度咲きは「翌年咲かすはずの花を咲かせている」とみる研究者も。雌雄の仲を裂き、開花時期まで狂わせた人間に愛想を尽かしていないだろうか。
(2021/10/12 05:00)
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