(2021/11/30 05:00)
新たな変異株の発生は予想されたことだ。過度に恐れず感染症対策の基本を徹底させたい。
新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」が南アフリカなどで検出された。既に欧州や北米でも感染者が出ており、世界に波及するのも時間の問題とみられている。
日本政府はきょうから、外国人の日本への入国を停止する。新変異株の性質を見極めるためにやむをえない対応である。ただ、影響は大きい。期間は必要最小限にとどめるべきだ。
現状海外からの渡航者は、ビジネス関連と留学生や技能実習生など、受け入れ責任者がいる人々だ。入国禁止は、経済的・人道的観点から課題も多い。諸外国とも歩調を合わせ、メリット・デメリットを踏まえた対応が肝要である。同時に帰国する日本人への検査体制を強化し、早期発見に努めてもらいたい。
新たな変異株の出現が、戻り始めた内需を冷え込ませることが懸念される。ワクチン接種がオミクロン株にどの程度有効かを見極めることが前提となるが、ワクチン接種や陰性証明を活用した「ワクチン・検査パッケージ」の本格導入を今こそ進めるべきだ。感染拡大が一定程度進んでも、過度な休業や時短を行わずに済む体制整備を講じ、飲食店やイベント関連業界の経営を支援してもらいたい。
企業は新たなサプライチェーンの分断リスクに備えなければならない。感染地域の把握や代替調達ルートの検討はもとより、生産の国内回帰など中長期的視点に立った対応策も検討すべきだろう。
原油など資源価格は先物相場が反落し落ち着いているが、冬場の需要拡大期に、供給が停滞する事態が起これば、価格高騰だけでなく調達そのものが危うくなるリスクもある。調達拡大策を怠るべきではない。
冬期はコロナ感染が拡大する時期である。感染第6波は到来することを前提に、検査の拡充、医療機関の受け入れ体制整備、日常生活におけるマスク着用など、これまで準備してきた対応策を着実に実行し、新たな危機を乗り越えたい。
(2021/11/30 05:00)
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