(2021/12/6 05:00)
日本がこれからどういう国となるべきなのか。大きなビジョンのもとに「新しい資本主義」の全体像を示してもらいたい。
臨時国会がきょう召集される。経済対策の裏付けとなる補正予算案の審議が中心となる。歳出総額35兆9895億円は、補正予算として過去最大。岸田文雄首相は所信表明で目的を明確に説明する必要がある。
補正予算のうち、18・6兆円は新型コロナウイルス感染症対策とコロナ禍で困窮する国民や事業者への支援に充てる。新たな変異株の登場で、感染第6波の到来も危惧される状況だ。十分な医療の備えを整え、苦境にある世帯や事業者に適切で迅速な給付を実行させたい。
岸田政権肝いりの「成長と分配の好循環」関連予算は、8・2兆円を措置する。子育て世帯への実質10万円給付など、分配関連の約2兆円に関心は集まるが、成長戦略に6・2兆円分が充てられることは評価したい。
中でも経済安全保障を重点施策としたことは、時宜にかなっている。コロナ禍による供給網の分断や米中対立の深刻化は、日本経済の脆弱さを露呈した。国民生活や産業にとって必要不可欠な素材や部材、製品を自国で調達・供給するという考えは妥当だ。当面、先端半導体や蓄電池の国内生産拠点確保やデータセンター設置などを想定している。
ただ、経済安全保障は米国や欧州が先行して取り組み、予算規模や施策も日本を上回る。補正予算を皮切りに、規制改革、税制措置、人材育成など総合的な強化策を繰り出し、遅れを取り戻さなければならない。
中小企業の生産性向上も喫緊の課題である。事業転換やグリーン投資を加速する事業再構築や再編支援、IT投資を促す生産性革命関連にも、増額支援がなされる。下請け取引適正化などの施策とセットで、強い中小企業育成を進めたい。
コロナ禍による苦境をやり過ごすだけでなく、日本経済の改革の方向を見出す契機としなければならない。超大型の補正予算がその原動力となるよう、国会で建設的な議論を望む。
(2021/12/6 05:00)
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