(2022/1/12 05:00)
コロナ禍でさらなる出生率低下が懸念される。中長期を見据えた少子化対策が必要だ。
国立社会保障・人口問題研究所は2018年に、30年に全都道府県で人口が減少し、45年までに日本の総人口は1億642万人になると予想した。日本の人口は08年の1億2808万人がピークとされ、37年で2100万人以上が減少することになる。さらに65年には8808万人、65歳以上の老年人口比率は38・4%で、約4割が高齢者になる。生産年齢人口比率は51・4%に落ち込み、現在(2017年)の60・0%を下回り、働ける人が2人に1人になる。
労働人口の減少は、消費の減少を意味し、経済は縮小する。一定の需要を見込んでビジネスが成り立っているので、その前提が崩れる企業への影響は計り知れない。経済大国を掲げてきた日本が経済の縮小とともに、国際社会で存在感が薄れていくことにもつながるだろう。
コロナ禍で2020年の出生率は想定よりも低下した。晩婚化・未婚化も進んでおり、出生率のさらなる低下が懸念される。足元のコロナ対策とともに、先を見据えた少子化対策に、今こそ取り組まねばならない。
政府は次期通常国会に「こども家庭庁」創設に関する法案を提出する。こども政策の司令塔機能を同庁に一本化する方針で、2023年度のできるだけ早い時期の創設を目指す。少子化対策は最重要案件と位置付けられており、同庁の果たすべき役割はきわめて大きい。
出生率の上昇に即効薬はない。岸田文雄政権が掲げる「成長と分配の好循環」を実現し、若い世代が経済面、時間のゆとりなどにおいて将来に希望が持てる環境づくりが求められる。
先進国ではフランスが少子化を克服した例もある。政府と行政のバックアップと子育てを支援する企業の複合的な取り組みが功を奏した。男性の産休取得も社会的コンセンサスがある。
日本においても、社会全体が子育てを応援する発想へと変わらなければならない。ロボットや人工知能(AI)などを活用した生産性向上も選択肢だ。
(2022/1/12 05:00)
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