産業春秋／全国戦没者追悼式

終戦から７７年となる１５日、全国戦没者追悼式が日本武道館（東京都千代田区）で開かれた。天皇・皇后両陛下、岸田文雄首相ら三権の長、遺族代表者ら約１０００人が参列し、約３１０万人の戦没者を悼んだ。

例年６０００人規模の追悼式はコロナ禍に配慮し３年連続で規模が縮小されて行われた。天皇陛下は「深い反省の上に立って、再び戦争の惨禍が繰り返えされぬことを切に願う」とのお言葉を述べられた。

岸田首相は不戦の誓いを述べた上で「世界が直面するさまざまな課題の解決に全力で取り組む」との決意を語った。長期化するウクライナ情勢、常態化する中国の台湾威嚇など「戦後最大級の難局」（岸田首相）にあるとの思いを新たにする。

１５日、韓国では光復節の式典が開かれ、尹錫悦大統領は「韓日関係を早期に回復、発展させる」と語ったが、徴用工問題には触れなかった。安全保障で日韓が結束を強めるためにも韓国の同問題での決断に期待したい。

細田博之衆議院議長は全国戦没者追悼式での追悼の辞で「戦前生まれの議員は１０人を数えるばかりになった」と語った。先の戦争の語り部は少ない。だが平和の尊さを学ぶ材料は東アジアにも欧州にも存在する。