(2022/8/29 05:00)
日本経済は7―9月期に緩やかな成長が見込まれるものの、10―12月期以降は世界経済の行方に警戒が必要だ。米国の金融引き締めによる経済減速が秋以降に本格的に表面化しかねず、中国経済の停滞にも歯止めがかかる兆しはない。重要な政治日程を終えた秋から米中の覇権争いが再び激化する可能性もある。日本にとって1、2位の輸出相手国である米中経済の減速が、日本を景気後退に引き込む可能性には留意したい。
日本の4―6月期の実質国内総生産(GDP)成長率は年率換算で2・2%と、1―3月期の0・1%から上昇した。コロナ禍が比較的落ち着き、まん延防止等重点措置などの行動制限が解除された影響が大きい。個人消費が回復したほか、コロナ禍で先送りしていた設備投資も活発化。日本政策投資銀行がまとめた2022年度の設備投資計画調査によると、大企業の国内投資額は前年度比26・8%増と大幅に増加する見通しだ。
7―9月期は新型コロナの新規感染者が急増したものの、政府は行動制限を自治体に要請していない。4―6月期より成長鈍化が見込まれるものの、プラス成長は維持するとみられる。政府が25日発表した8月の月例経済報告では、個人消費や設備投資の先行きも「持ち直し」の継続が期待されるとした。ただ世界経済は「持ち直しのテンポが鈍化」しており、世界的な金融引き締めが日本経済の下押しリスクであると警鐘を鳴らす。
警戒したいのは10―12月期以降。米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ退治に向けて大幅な利上げを実施してきたが、米国の経済減速が顕在化しかねない。若者の失業率が約20%に達する中国経済も回復は難しい。米国の11月の中間選挙と習近平国家主席が3期目入りを目指す秋の共産党大会という重要な政治日程終了後、米中対立の一段の深化も想定される。
財務省によると、7月の日本の対米・対中輸出は円安効果もあって前年同月比12―13%増と大幅増。大企業製造業の業績を支える好調な輸出がいつまで継続するのか注視していきたい。
(2022/8/29 05:00)
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