(2022/9/1 05:00)
労働者協同組合法が地域課題の解決を目的に10月1日に施行される。企業は主体的な働き方が可能な協同労働で中高年を活性化し、企業価値を高めたい。
株式会社と異なり出資、経営、労働のすべてを組合員が担う。企業のように指揮命令系統の下ではなく、仲間と協同して働く。2020年の法制化で法人格が認められた。
事業に必要な資金は組合員が拠出し、経営は全ての組合員の意見を反映して行う。組合員は1口以上を出資するが、議決権と役員などの選挙権は口数にかかわらず平等に与えられる。
非営利法人で組合員に出資配当はないが、事業に従事した程度に応じて剰余金の配当は認められる。企業組合やNPOなどからの移行が見込まれる。
発起人が3人以上いれば行政の認可や認証は要らず簡便に設立できる点も魅力。介護や障害者福祉、子育て支援、芸術・文化振興などで活力のある持続可能な地域社会の実現を目指す。
再雇用制度は賃金が低下しても、仕事の内容は定年前とほぼ変わらないのが通例。バブル期大量採用世代の定年を控え、再雇用時のモチベーション低下を懸念する企業は少なくない。
日本総合研究所によると、副業・兼業に賛成の中高年男性は約8割に上る。再雇用者の活性化に協同労働を生かすには、定年前から副業・兼業やキャリア研修を実施し、再雇用移行時の段差を低くしておきたい。
協同労働は組合員に賃金の支払い義務が発生するため継続的に収益を上げられる事業が不可欠。企業は福利厚生や社会貢献の事業を切り出すなどで設立を後押ししたい。再雇用者が協同労働で培った人脈やスキルは企業で役立つことも期待できる。
当面の課題は制度への理解が不十分な点にある。NPOなどから自治体への問い合わせは少数だ。国は優良事例の紹介を通じて事業化や運営のノウハウなどを積極的に周知するべきだ。労働力人口の減少が加速する中、専門性や豊富な知見を持つ中高年を「不完全燃焼」のままにしておくのは企業や社会にとって大きな損失だろう。
(2022/9/1 05:00)
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