(2022/9/14 05:00)
8月の国内企業物価指数が過去最高を更新した。消費者物価指数も価格転嫁が進むエネルギーや食料品などで上昇が目立つ。物価上昇は実質賃金を低下させ、個人消費を鈍らせる。政府が10月上旬に召集予定の臨時国会で、効果的な総合経済対策を打ち出せるかを注視したい。
日銀が13日発表した8月の国内企業物価指数(2020年平均=100、速報)は115・1と過去最高を更新した。前年同月比で9・0%の上昇で、上昇は1年6カ月連続になる。電力・都市ガス・水道が同33・4%、鉄鋼が同26・1%、石油・石炭製品が同15・6%上昇と、原材料が相次ぎ高騰した。ロシアのウクライナ侵攻に伴う原材料の供給制約に、円安進行が拍車をかける構図が続く。
7月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同月比で2・4%上昇し、消費増税の影響を除けば08年8月以来、13年11カ月ぶりの高水準だった。企業物価指数との乖離(かいり)はあるものの、電気代が同19・6%、ガス代が同18・8%、食用油が同40・3%の上昇と、生活に身近なエネルギーや食料品への価格転嫁が進んでいる。これらの大幅値上げが消費マインドに及ぼす影響が懸念される。
物価の上昇に、賃金の上昇が追い付いていない。厚生労働省がまとめた7月の毎月勤労統計調査(速報)によると、実質賃金は前年同月比1・3%減と4カ月連続の減少だった。
値上げラッシュは10月も続く。帝国データバンクによると同月に値上げを予定している食品・飲料は6305品目に及ぶ。原材料価格の高騰や円安進行に加え、高原状態の原油価格が物流コストを押し上げる。原油価格も石油輸出国機構(OPEC)プラスが10月の生産量を減少することで合意し、一服していた価格が上昇しやすくなった。
政府は追加の物価対策(22年度予備費を活用)に続き、臨時国会で総合経済対策の裏付けとなる22年度第2次補正予算案を編成する方針だ。財政規律にも配慮した分配政策を推進するなど、効果的で切れ目のない対策を打ち出してもらいたい。
(2022/9/14 05:00)
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