(2022/9/13 05:00)
東京都は戸建て住宅など中小規模の新築建物を対象に、2025年4月から太陽光パネルの設置を義務付ける方針を表明した。戸建て住宅への設置義務化は全国初となる。脱炭素とエネルギー安全保障を両立でき、高騰する光熱費低減にもつながる施策として実現が期待される。
戸建て住宅やアパートなどの中小規模の新築建物(延べ床面積2000平方メートル未満)について、購入者(建築主)ではなくハウスメーカーなどの事業者にパネル設置を義務付ける点に特徴がある。都内で年間2万平方メートル(延べ床面積)以上を供給する大手ハウスメーカー約50社を義務化の対象とし、遅々としていたパネル普及を加速させる。パネル付きを住宅の標準としたい意向で、都が設けるパネル設置基準に未達の事業者には指導を行うことなどを想定する。
都は12月の議会に条例改正案を提出し、議決後は2年程度の準備・周知期間を設け、25年4月の制度施行を目指す。この間、パネルの設置はコスト増といった誤解を払拭(ふっしょく)する啓発活動や、パネルのメンテナンス・リサイクル体制の確立といった環境を整えておく必要がある。
約100万円とされるパネル設置費用は、自家発電によるランニングコストの低減と売電収入、さらに都の補助金を活用すれば約6年で回収できる。都は初期費用ゼロのリースの活用なども視野に入れる。パネル設置はむしろコスト減となることを啓発することから始めたい。
都内の太陽光発電設備の設置割合は4%程度(19年度)に過ぎない。太陽光発電に対する問題意識は若い世代ほど高く、将来に禍根を残さないためにも再生可能エネルギーの主力電源化とエネルギー自給率の向上を進めたい。自然災害時の電力供給網の寸断に対応できる利点などもインセンティブとなろう。
日本の電力事業はウクライナ情勢以前から”綱渡り”が続く。電力が逼迫(ひっぱく)した今夏、企業や家庭が節電しなければ停電しかねない事態は異常だった。都の試みが全国の自治体に波及し、脱炭素と同時に電力の安定供給体制を実現したい。
(2022/9/13 05:00)
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