(2022/9/30 05:00)
地方銀行の再編が相次ぐ。ともに長野県が地盤の八十二銀行と長野銀行は28日、経営統合で基本合意したと発表し、10月3日には愛知県の愛知銀行と中京銀行が経営統合する。超低金利と人口減少を背景に、経営基盤の強化に取り組むものと評価したい。地域中小企業の資金繰りに十分に応えられる環境整備がさらに進むことが期待される。
日銀のマイナス金利政策は金融機関の本業の収益を圧迫し、人口の減少が地域経済を疲弊させている。帝国データバンクによると、政府・金融機関のコロナ支援融資で減少していた企業倒産件数も5月以降に増加に転じたのも気がかりだ。
地銀の2021年度決算は、融資先の倒産に備える与信費用が減少して堅調だったものの、22年度は減益を見通す地銀が少なくない。中小企業は9月末で終了するゼロゼロ融資(実質無利子無担保融資)の返済が本格化するなど経営環境は厳しい。
地銀は短期および中長期で対策を求められている。政府・日銀は地銀同士の経営統合や経費削減、事業多角化などを促す支援を講じており、地銀は効果的な基盤強化策を講じたい。
独占禁止法の特例法が20年11月に施行され、同一県内の地銀合併が寡占禁止規定から除外された。30年11月までの時限措置で、青森銀行とみちのく銀行がこの特例法に背中を押されて4月に経営統合している。
日銀は経営統合や経費削減に取り組む地銀に対し、日銀に預ける当座預金に年0・1%を上乗せする支援を22年度末まで実施。また政府は合併・再編に伴うシステム統合・店舗統廃合などの費用に対し、26年3月までの期間、補助金を交付する。
再編でなく独自路線を貫く地銀には、改正銀行法の施行により事業多角化の道が開かれている。システム販売やコンサルティング、人材派遣、データ分析などで、収益の安定化につながることが期待される。
地域経済は人口減、後継者問題、デジタル変革(DX)への対応など課題が山積する。地銀は経営基盤を強化し、懸案の地方創生を担ってもらいたい。
(2022/9/30 05:00)
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