(2022/10/3 05:00)
臨時国会が3日召集される。会期は12月10日まで。物価高や賃上げの対策などを盛り込んだ総合経済対策を月内にまとめ、裏付けとなる2022年度第2次補正予算案を編成する。中でも電気代は来春以降も急騰の可能性があり、幅広い世帯と企業に対策を講じたい。ただ財政膨張の懸念が残る。23年度当初予算案との重複を避けるなど財政規律重視の編成を求める。
岸田文雄首相は3日の所信表明演説で総合経済対策に盛り込む「物価高・円安への対応」「構造的な賃上げ」「成長のための投資と改革」について説明する。対策の柱である物価高対策は、すでに決めた住民税非課税世帯への5万円給付とは別に、幅広い世帯と企業を対象に電気代の負担軽減策を検討する。
電気代はこの1年で2―3割上昇し、来春以降も同程度の大幅な値上げの可能性がある。価格上昇への激変緩和措置はやむを得ないとして、いつまで支援を続けるのか「出口戦略」も示すことで、バラまきを回避する姿勢が政府に求められる。
円安については、これを“追い風”ととらえてインバウンド(訪日外国人)消費額をコロナ禍前を上回る年間5兆円以上に引き上げる目標を掲げる。また構造的な賃上げに向けて、労働者が成長分野に移動しやすいよう5年間で1兆円の学び直し支援を行う。成長に向けた投資は半導体分野への官民投資を集中する方針を示すとみられる。
22年度補正予算案について自民党内には30兆円規模を求める声が出ている。23年度当初予算の概算要求は110兆円規模に達し、歳出圧力は強まるばかりだ。岸田政権の看板政策「新しい資本主義」が補正・当初の両予算で重複しないよう留意したい。コロナ禍対策などで約30兆円の使い残しがあった20年度予算のようにならぬよう金額ありきの編成は慎んでもらいたい。
岸田政権は旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の被害者救済に向けた消費者契約法などの見直しも検討する。内閣支持率を急落させた教団と自民党の関係についても、政権与党としての説明責任を果たしたい。
(2022/10/3 05:00)
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