(2022/10/7 05:00)
幼稚園や保育園などの通園バスで、園児が置き去りになる事故が多発するようになった。園側の監督責任を問うだけでは再発防止は難しい。官民連携により技術面からヒューマンエラーを防ぐ対策を急ぐべきだ。
9月5日、静岡県牧之原市の認定こども園「川崎幼稚園」で3歳の女児が通園バスの車内に取り残され熱中症で死亡した。政府は事故を受け安全装置の義務化を検討すると表明した。遅きに失したと言うしかない。
少子化で経営が厳しさを増している幼稚園や保育園もある。義務化に当たっては導入費の補助や運用方法の指導などの公的支援策を講じてもらいたい。
国土交通省はヒューマンエラーの防止に必要な安全装置の基本機能などについて指針を策定する。粗悪品を排除する狙いもある。来夏に間に合わせるため、開発期間も考慮し、年末には公表する考えという。
安全装置の製品化はようやく緒に就いたところだ。職員が車内最後部のスイッチを押すまでブザーが鳴り続け目視確認を促す方式、人感センサーで置き去りを感知するとライトの点滅やスマートフォンへの通知で警告する方式などがある。
装置の導入により対策を重層化すれば事故の発生リスクは低減できる。だが装置を活用できるかどうかは職員の危機管理意識やスキルによる。装置の導入により安全管理の基本がおろそかになっては本末転倒だろう。
保護者の責任で片付けられている自家用車での置き去り事故も早急な対策が必要だ。国産車で安全装置を標準装備しているのは一部のメーカーの高級車に限られる。メーカーには市場性より社会的責任の視点から機能の簡素化や量産効果によりコストを抑え、低価格帯の車種まで装備を広げる努力を求めたい。
最も重要なのは利用者の意識改革だろう。「安全管理を徹底しているから装置は不要」という幼稚園もあるが「人間はミスをする」という安全管理の原則に立脚するべきだ。人と技術がクルマの両輪のように補い合えば防げる事故である。来夏には死亡者ゼロを達成したい。
(2022/10/7 05:00)
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