(2022/10/17 05:00)
習近平総書記(国家主席)は3期目に、台湾統一を国家目標に明確に位置付ける。自身が指導者として祖国統一を実現するとし、長期政権の根拠とする狙いもある。国家目標「中華民族の偉大な復興」は中国を国際秩序の中心に位置付け、祖国の完全統一を目指すものだ。台湾海峡をめぐる地政学リスクの高まりに強く警戒したい。
中国は東・南シナ海への海洋進出、南太平洋ソロモン諸島との安全保障協定、さらに台湾近海での8月の軍事演習は「台湾統一へ武力行使も辞さない」戦略を浮き彫りにした。軍事演習では中国の弾道ミサイルが日本の排他的経済水域(EEZ)に落下し、台湾有事が日本の安保も脅かすことを突き付けた。
ペロシ米下院議長の台湾訪問が、中国に軍事演習の引き金を引かせた。バイデン米大統領も台湾への軍事介入に言及し、米中関係を緊迫化させる言動が相次ぐ。米国による東アジアへの強い関与は安全保障の維持に極めて重要だが、偶発的な軍事衝突を招く事態は避けたい。
台湾は世界の先端半導体の9割を生産し、中国の対米防衛線「第1列島線」に位置する重要地域だ。中国による現状変更を許せば、地政学リスクは台湾を起点にさらに拡大する。日台の防衛力と日米韓同盟の強化、さらに北大西洋条約機構(NATO)との結束も強めたい。
他方、日本は隣国・中国との重層的な対話の継続に努め、安保以外の経済分野で日中関係を強化しつつ、「最悪の事態」を回避する外交力が求められる。
国連総会は12日にロシアのウクライナ4州の併合宣言を無効とする決議案を採択した。賛成は有効票の8割に迫り、ロシアは孤立を深めた。欧米の軍事支援を得たウクライナにロシアは戦況劣勢にある。海を隔てた台湾侵攻はさらに困難で、経済制裁もロシア以上に甚大だと中国が分析していると期待したい。
24年には米大統領選と台湾総統選を控える。対中強硬派の米大統領、独立を訴える台湾総統が誕生する可能性もある。さまざまな状況を想定し、中国との対話は間断なく行いきたい。
(2022/10/17 05:00)
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