(2022/12/6 05:00)
米連邦準備制度理事会(FRB)が13、14の両日に開く次回会合で、政策金利の利上げ幅を縮小する可能性がある。4会合連続で行った0・75%の大幅利上げを修正し、0・5%とする案が有力だ。ただ人手不足に伴う賃上げ圧力は根強く、米FRBは利上げ幅で難しい判断を迫られる。物価と景気両にらみの慎重な政策の実行を求めたい。
米FRBのパウエル議長は11月30日の講演で、利上げ幅の縮小時期を「早ければ12月」と語った。懸案のインフレがやや改善傾向にあるほか、個人消費の減速など景気後退の兆しが見え始めたことが背景にある。行き過ぎた円安が是正され、相場が安定する効果も期待したい。
米国の10月の消費者物価指数は前年同月比7・7%上昇と4カ月連続で減速した。住宅市場の縮小に加え、コロナ禍で混乱していた供給網が正常化に向かい、供給不足が改善されつつある。一方、7―9月期の実質成長率は3四半期ぶりのプラス成長だったが、個人消費は同1・4%増と4―6月期の同2・0%増から減速した。利上げ幅を縮小する環境が整いつつある。
ただ消費者物価指数はなお高水準で、インフレを助長する賃金上昇率も高原状態にある。11月の雇用統計によると、非農業部門の就業者数は前月比で26・3万人増え、市場予測の20万人を上回った。人手不足に伴って賃金も上昇し、11月の平均時給は前年同月比5・1%上昇と高い伸び率を示している。米FRBの利上げ幅の縮小が、インフレ抑制を遅らせる可能性があることに留意する必要がある。
一方、米FRBは2023年末に4・6%としていた政策金利の最終到達点を上方修正する見通しで、金融引き締めが長期化することも示唆している。米国内では23年中に景気後退するとの見立てが多く、不透明な米国経済の先行きが懸念される。
米国は下院で共和党が過半を占める“ねじれ”議会で、バイデン政権が想定する財政出動による景気対策を講じにくいことも気がかりだ。超党派で景気を支え、米国経済が“軟着陸”できるかは予断を許さない。
(2022/12/6 05:00)
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