産業春秋／佐々木朗希投手「3.11」先発か

ワールド・ベースボール・クラシック（ＷＢＣ）が開幕した。大谷翔平選手（エンゼルス）やダルビッシュ有投手（パドレス）らメジャーリーカーを擁する日本が３度目の優勝に輝くと期待し声援を送りたい。

メジャーリーガーばかりでなく、千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希投手にも期待したい。４日の中日ドラゴンズとの壮行試合では、大谷選手の日本記録に並ぶ時速１６５キロメートルをマークした。

佐々木投手は１１日のチェコ戦での先発が予想される。東日本大震災で被災した佐々木投手が忘れられない「３・１１」に大舞台のマウンドに立つかもしれない。

佐々木投手が小学３年生の時、故郷の岩手県陸前高田市は大津波で甚大な被害を受け、父親と祖父母を亡くした。その少年が高校時代に「令和の怪物」と呼ばれる大投手へと成長。高校３年で高校生史上最速タイの時速１６０キロメートルを出し、今では日本を代表する投手に。

震災から２年後の１３年、東北楽天ゴールデンイーグルスの初の日本シリーズ優勝に東北が沸いたのを思い出す。あれから１０年、大震災から１２年の歳月が流れた。佐々木投手の登板は「３・１１」の記憶を風化させてはいけないというメッセージにも思えてくる。