(2023/4/24 05:00)
主要7カ国(G7)デジタル・技術相会合が29、30の両日、群馬県高崎市で開かれる。対話型人工知能(AI)を安心して利用できる規制のあり方を議論するほか、国境を越えたデータ流通を円滑化するための新たな枠組みの創設を話し合う。ただいずれの議題も、法制化により厳格な規制を求める欧州連合(EU)に対し、米国は企業活動を制約する規制には慎重で、欧米で温度差がある。G7が協調し、有効なメッセージを発信できるかを注視したい。
G7は急速に普及する米オープンAIの対話型AI「チャットGPT」などを念頭に、AIの可能性と同時にリスクへの懸念も表明する。新技術の可能性に世界が注目する一方、データ収集の手法次第では個人情報の流出や著作権侵害、人権などに抵触する恐れがあり、民主主義の価値観を脅かす可能性がある。G7は「信頼できるAI」の実現に向け、AI倫理に基づく利用上の国際ルール作りを主導するものと評価したい。
G7は今回の会合で、文章や画像を自動でつくる生成AIの「潜在的な影響力に対する分析と研究」を加速するよう提唱する。その上でAIのリスクを評価する共通の国際ルールや行動計画の策定を目指す。また国境を越えたデータ流通の円滑化「信頼性のある自由なデータ流通(DFFT)」の実現に向け、国際的な枠組みの創設を提唱し、合意する見通しだ。
欧米ともに生成AIへの規制の必要性では認識が一致する。欧州ではイタリアが3月末にチャットGPTの一時的な使用禁止を発表し、バイデン米大統領も潜在的なリスクに警戒感を示すが、規制手法の考え方は各国で異なる。G7はAIの適切な利用に向けた行動計画を初めて採択する見通しだが、どこまで協調できるかが焦点になる。
中国は生成AIが政府見解と異なる考えを拡散しかねないとの警戒から、事業者への規制を年内にも講じるとみられる。中国政府は一方で偽情報を流して世論を操作する「認知戦」など軍事利用する可能性がある。G7は中国の動向も注視したい。
(2023/4/24 05:00)
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