(2023/6/13 05:00)
政府は、外国人労働者の日本永住に道を開く在留資格「特定技能2号」の対象業種を2分野から11分野に拡大することを9日に閣議決定した。労働人口が減少する中、深刻な人手不足に対応した措置と評価したい。人権リスクを抑える人権デューデリジェンス(DD)の積極的な実施はもとより、外国人にとって不安な日本での生活の支援や適正な処遇により、外国人から選ばれる日本としたい。
特定技能は人手不足対策として2019年に導入。1号と2号があり、1号は12分野が対象で在留期間は5年、家族は帯同できない。2号は熟練した技能が求められ、在留期間に上限がなく家族とも日本で暮らせる。だが2号は建設と造船・船用工業の2分野に限られていた。この2号の対象を拡大するのは、1号労働者が24年から順次、在留期限を迎えることも背景にある。円滑に2号に移行できるよう企業の後押しも求めたい。
拡大される業種は農業や漁業、飲食料品製造、外食、素形材・産業機械などの製造、自動車整備、宿泊など。介護は別資格で長期就労を可能とする。3月末で1号は15万人超、2号は11人にとどまる。1号から2号への移行と同時に、2号の対象領域をさらに拡大してほしい。
一方、政府は「外国人技能実習制度」の廃止を検討する。途上国への技術移転を目的としながら実態は労働力の受け皿で、制度の目的と実態が乖離(かいり)している。賃金不払いや暴力など人権侵害も指摘される。雇用主を監督する監理団体が十分に機能せず、実習生は同業他社への転籍も原則認められていない。
政府は同制度を廃止し、人材確保を前面に掲げた新制度を設け、特定技能制度と連動させることを想定する。有識者会議は今秋にまとめる最終報告書で、監理団体の認定要件を厳格化するなど十分な対策を講じてもらいたい。経団連は国際的人材獲得競争を見据え、外国人を「受け入れる」国から戦略的に「誘致する」国へと発想を転換する必要性を指摘する。外国人から選ばれなければ企業成長に影響が及びかねないと自覚したい。
(2023/6/13 05:00)
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