(2023/9/12 05:00)
10日に閉幕した主要20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)で、55カ国・地域から成るアフリカ連合(AU)の加盟が正式に承認された。世界経済へのアフリカの潜在的な影響力の大きさを物語る。ただAUなどグローバルサウスとの連携強化を狙う西側諸国と中ロの綱引きも想定され、機能不全のG20がさらに混乱する可能性も拭えない。グローバルサウスには西側の価値観を押し付けずに食糧や気候変動、開発などの支援実績を積み重ね、関与を強めたい。
インド・ニューデリーでのG20サミットは、分断による機能不全を改めて鮮明にした。全会一致が必要な首脳宣言の採択を優先し、中ロへの配慮に腐心した。武力行使や核兵器禁止を訴えながら、ロシア名指しの批判は封印された。ウクライナが失望感を隠さないのも当然だ。
G20加盟が承認されたアフリカ連合は、食糧や軍事支援などでロシアに一定程度を依存し、国連総会のロシア非難決議に同調しない国が少なくない。インフレや気候変動問題、さらに世界の分断を招いたのは先進国で、途上国は被害者と受け止めている。西側諸国は、アフリカが直面する貧困や深刻な食糧不足などへの支援を推進し、関係を深めることが求められる。
アフリカ連合は一方で、リープフロッグ型成長と呼ばれる急速な技術革新と人口増が進み、西側陣営にも中ロにも潜在的な有望市場に映る。両陣営のけん制がG20の機能をさらに低下させないか注視していきたい。
アフリカ連合と同様に、東南アジア諸国連合(ASEAN)も政治的に中立で、イデオロギーより国益を重視する。7日に閉幕したASEAN関連首脳会議でも、中国の海洋進出を非難する一方、米中対立に巻き込まれないよう一線を画していた。
グローバルサウスをめぐる両陣営の綱引きが続く限りG20の機能回復は望めない。それどころかグローバルサウスの中ロへの経済依存が強まれば、世界の安全保障に影響が及ぶ。西側諸国は中国の“債務のワナ”と次元の異なる支援を重ね、多極化する世界秩序を再構築したい。
(2023/9/12 05:00)
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